インナーチャイルドをケアする意味とは?過去ではなく「今」を生きるための見方

「未来へ進みたいのに、なぜ過去を振り返る必要があるのだろう」

インナーチャイルドという言葉に触れたとき、そう感じる方もいるかもしれません。

過去を見つめたら、かえって前へ進めなくなるのではないか。けれど私が大切にしているのは、過去に戻り続けることではありません。

軸足は、いつも現在にあります。

変えられない過去を、なぜ見つめるのか

昔の出来事そのものは変えられません。

けれど、今の私は、当時の私にはなかった経験や言葉、選択肢を持っています。

現在の自分から、幼い頃に見えていた景色や、そのとき身につけた受け取り方をもう一度見つめる。私は、そのためにインナーチャイルドをケアしています。

では、過去を見つめることで、今の何が変わるのでしょう。

未来は「太陽光」、過去は「地熱」

Podcast第75回では、未来へ向かう力を「太陽光」、過去から受け取る力を「地熱」にたとえました。

太陽の光を受けて上へ伸びること。そして、土の中に根を張り、足元から支えられること。

未来の目標を描くことと、自分がこれまで何を感じ、どんな見方を身につけてきたかを知ること。この二つは、どちらか一方を選ぶものではないと私は感じています。

ただし、これは心理学上の客観的な法則ではなく、私自身の経験と支援観を表す比喩です。

インナーチャイルドをケアすれば必ず力が湧く、と約束するものでもありません。それでも、「前へ進むこと」と「過去を見つめること」を対立させずに考える手がかりにはなります。

幼少期だけを原因にしない

ここで、もう一つ大切なことがあります。

インナーチャイルドは、今の悩みをすべて幼少期のせいにするための言葉ではありません。

現在の環境、人間関係、疲れや体調など、今の反応に関わるものは一つではないからです。

私は、インナーチャイルドを「原因を決める答え」ではなく、自分を理解するために残しておける複数の視点の一つとして扱っています。

原因を一つに決めないからこそ、今の自分にできる選択が見えてきます。

変えるのは過去ではなく、今の自分との関係

たとえば、当時の自分が「我慢するしかない」と感じていたとしても、今も同じ選択だけが残っているとは限りません。

断る。距離を取る。誰かに相談する。すぐに答えず、しばらく考える。

あの頃には見えなかった選択肢を、今の自分は持っているかもしれません。

過去について正しい答えを出すことより、現在の自分に選択権があると確かめること。そこから、次の一歩が始まります。

今日、自分に残してみたい問い

昔の自分が見ていた景色を一つ思い出したら、こう問いかけてみてください。

今の私なら、当時の私に何と声をかけるだろう。

答えが出なくても構いません。思い出すことが負担になるときは、そこで止めても大丈夫です。

問いを持つだけでも、過去を見る時間が「戻るため」ではなく、「今を選び直すため」の時間へ少しずつ変わっていきます。

声で聴きたい方へ

Podcast第75回では、なぜインナーチャイルドをケアするのかを、「太陽光」と「地熱」の比喩を交えてお話ししています。

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本記事は自己理解のための一般的な情報です。診断・治療・心理療法の代替ではありません。強い苦痛や生活上の支障がある場合は、適切な専門機関へご相談ください。