何時に、どこで、何が起きたのかは説明できる。
それなのに、「そのとき、どう感じましたか」と聞かれると、言葉が出てこない。
そんなとき、「私は何も感じていないのだろうか」と不安になるかもしれません。
けれど、言葉にならないことと、何も感じていないことは同じではありません。
もくじ
気持ちは、いつもすぐ言葉になるとは限らない
まだ適切な言葉が見つからない。
感じる前に、起きた出来事を頭で整理している。誰かに伝えられるほど確かなものではないと思っている。気持ちを表現することに緊張がある。
一つの沈黙の中にも、いくつもの可能性があります。
だから私は、すぐに原因を決めず、「今はまだ言葉になっていない」ところから一緒に見つめます。
では、言葉になる前の気持ちは、どこに表れているのでしょう。
まず身体が教えていることもある
気持ちの名前は分からなくても、胸が少し固くなった。呼吸が浅くなった。そこから離れたくなった。
そんな小さな反応なら、気づけることがあります。
身体の反応だけで、幼少期の影響や特定の原因を断定することはできません。それでも、頭だけで「何でもない」と片づける前に、今ここにある反応を確かめることはできます。
気持ちを探す入口は、言葉だけではないのです。
インナーチャイルドは、可能性の一つ
幼い頃、気持ちを表現したときに、どのように受け止められたか。
その経験が、その後の「話しても大丈夫」という感覚に関わることがある。私は、支援の中でその可能性も大切にしています。
ただし、自分の気持ちが分からない理由が、必ず幼少期にあるとは限りません。
現在の人間関係、安心できる環境かどうか、疲れや体調、言葉になるまでに必要な時間も関係します。
インナーチャイルドは、原因を断定する答えではなく、自分の反応を見つめるための一つの視点です。
「事実・身体・言葉」を一行ずつ分ける
気持ちを直接答えるのが難しいときは、次の三つを分けて書いてみます。
- 事実:何が起きた?
- 身体:そのとき身体はどう反応した?
- 言葉:今いちばん近い言葉は?
三つ目が「分からない」でも構いません。
これは、隠れた原因を診断する方法ではありません。今ある反応を、急いで片づけずに確認するための小さなメモです。
書いてみると、「何も感じていない」のではなく、「まだ言葉になる途中だった」と気づくことがあります。
感情を出すことだけを正解にしない
話すことや感情を表に出すことが、いつでも正解とは限りません。
話さない。考える時間を取る。その場を離れる。信頼できる人にだけ伝える。
どれも、自分を守るために選べる行動です。
意味づけとペースは、自分自身のもの。安心できる範囲で、今日見つけられるものだけを見つめてみてください。
声で聴きたい方へ
Podcast第81回では、「自分の気持ちがわからない」ときに何が起きている可能性があるのかを、インナーチャイルドという視点からお話ししています。
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本記事は自己理解のための一般的な情報です。診断・治療・心理療法の代替ではありません。音声内の個別事例は、公開への同意を確認できていないため本記事では再掲載していません。






